自分より年上の人が部下として入ってきたら、どうやって指導したら良いのか、気を使いますよね…。
年上の部下の方は意外と「なんでも言って大丈夫ですよ!」なんて、懐広く言ってくれるものの、実際にきつく叱ったりすると、逆恨みされてトラブルになることも。
最近は、30代40代での転職もめずらしくないため、職場で年上の部下の扱いにくさにうんざりしている年下上司が増えているという話も聞きます。
実は私も会社員時代は使えない年上の部下に振り回されていた時期もあるので、今回は自分の経験も踏まえて、年上の部下にどういう接し方をすれば上手くいくのか、職場での付き合い方のポイントをまとめてみました。
年上の部下は使えない?
自分より年上の人が部下になったからと言って、必ずしも「使えない、仕事のできない人」だとは限りませんよね。
それなのになぜ「年上の部下は使えない」と悩む人が多いのでしょうか?
それはやはり、年齢を重ねてから転職を繰り返している人は、そもそも仕事に対しての情熱がそれほど大きくないという理由もあります。
また、年下の上司は年上の部下に気を使ってしまいますし、年上の部下の方も「自分は人生の先輩だ」というプライドがあって、その辺がギクシャクした関係性を作り上げてしまう原因だともいえるでしょう。
では、そんな中でも仕事を円滑に進めるために、年下の上司は年上の部下にどう接すれば良いのでしょうか。
年下でも、「上司としてのプライド」は忘れない
部下になった人が自分より年上で、見るからにしっかりしたタイプの人だった場合、上司として仕事を教えたり注意をしたりすることに遠慮してしまうこともありますよね。
「こんなことは言わなくても分かっているかも…」
「注意して逆切れされたら嫌だし…」
などと、色々と不安になって躊躇してしまう人も少なくありません。
でも、たとえ部下が自分より年上だったとしても、その職場では自分の方が先輩であり上司である以上は、年齢差はひとまず考えないようにして対応する必要があります。
こちらが遠慮して尻込みしてしまった結果、最初は上司として敬意をはらってくれていた部下の側が、だんだんと横柄な態度に変わってしまう場合も多いのです。
一旦そうしたあべこべの関係が築かれてしまうと、軌道修正することは難しくなってしまいます。
部下が年上でも年下でも、上司としてのプライドを持って仕事の上では毅然として接するようにしましょう。
こちらから歩み寄る姿勢も大切
部下が年上の時に多い悩みが、「価値観が違うから話が合わず、コミュニケーションがなかなか取れない」というものです。
上司と部下は友達関係ではありませんが、それでも、共通の話題などを使った日々のコミュニケーションを通して信頼関係を深めていくことはとても大切なことです。
とはいえ、独身で1人暮らしの20代と子だくさん家庭の30代のお母さんでは生活のリズムや考え方が全く違うように、世代間のギャップがあるとコミュニケーションを取ろうにもどうすれば良いのか分からなくなると思います。
また、相手が年上だということもあり、向こうから何か言ってくれるだろうと受け身になってしまう人も多いですが、年上だから話し上手であるとは限らず、お互いギクシャクした空気に居心地が悪くなってしまう場合もあるのではないでしょうか。
年上の部下と上手にコミュニケーションするためには、まずはこちらから心を開いてみましょう。
普段は仕事の話が中心になると思いますので、あいまに、「休みの日は出掛けたりするんですか?」とか、「いつも持ってるバッグ、すごく使いやすそうですよね」などと、相手が答えやすいような言葉を選んでみましょう。
1日に何度か、仕事と違う話題を少しずつでも積み重ねることで、お互いを認め合い、仕事をスムーズに進めるきっかけになりますよ。
年下の部下を指導する時は『共感フレーズ』を織り交ぜて
上司と部下という関係上、どうしても仕事の中で厳しく指導をしたり、時には部下の行動について注意をしなくてはいけない場面がありますよね。
そうした場面で頭ごなしに強く注意すると、年上の部下は「年下からきつく言われた…」とショックを受ける可能性があります。
かといって必要以上に優しく遠慮がちに注意をすると、相手は自分が注意されているという認識がきちんと持てずに、同じ失敗を繰り返してしまう可能性があります。
年齢に関係なく部下を注意する時には、きっぱりと要件を的確に伝えて、そのあとはぶり返したりしないようにしましょう。
その時に使う言葉は、「あなたがこうしたら皆が困るんですよ!」などという感情的な言い方はせず、
「◯◯はこうせずに、このようにしてもらえますか?」
と、具体的な指示として伝えます。
その時に、「私も新入社員の時よく間違えたんですよ」とか、「そうしたい気持ちもよく分かります」などと、共感フレーズを織り交ぜてみて下さい。
人は、仕事の中で注意をされると、注意を受けた相手と次に顔を合わせるのを負担に感じるものです。
部下に前向きに仕事をしてもらうためにも、注意を受けたショックをいつまでも引き摺らせないというのが、上司にとっては大切なことでもあります。
年上の部下から妬まれることも
部下の上に立って指導をする上司というのは、部下の立場から見れば、妬まれてしまう存在でもあります。
役職があれば手当もつくので、部下が年上だった場合には、
「年下のくせに自分より給料をたくさんもらっている」
という、嫉妬の対象にもなることもあるのです。
私の経験からもいえることですが、年上の部下から妬まれた時、関係がこじれてトラブルに繋がってしまうことがあります。
同じような仕事をしているのに、どうして年下のあいつの方が給料が多いんだ!
という感じで、部下が年上だと給料や待遇面を年下の上司と比べてフラストレーションを爆発させるケースも多いと聞きます。
ですから、トラブルを回避するためにも、年上の部下との接し方やコミュニケーション、距離の取り方には気を付けることがとても大切だと思います。
温和な雰囲気を保ちながら、でも、上司と部下であるという立ち位置は明確にしましょう。
大切なことは、
普段の言葉遣いを敬語にしたり、コミュニケーションの場ではこちらからアクションを起こす。
また、注意をする時には感情を出さずに、冷静に指示をしながら共感ワードを織り交ぜてみる。
そういったことの積み重ねなのだと思います。