女優の清水富美加さんが「幸福の科学」に出家して、芸能界を引退することが話題になっていますね。
「22歳で出家」という、なんだかセンセーショナルな言葉だけが一人歩きしている感じがしないでもないですが、まあ状況的に世間が驚くのも無理はないと思います。
私はこのニュースを昨日知ったのですが、世間の皆さんとは少し違った意味で驚きました。
どういうことかと言うと、私の親戚の男の子も去年、20代で突然出家したからなんです。
彼が出家することを聞いた時には、あまりに遠い話に思えて、よく理解しないまま「ああ、そうなんだ…」という感じで終わってしまったように覚えています。
今になってふつふつと疑問が湧き上がっているわけですが、会いたくても会えないので、「あの時はあれだったけど、なんでこうなった?」的なことをたずねることもできません。
それで改めて、「出家」っていったい何なのか、どうすれば出家できるのか、出家したらどうなるのか、調べてみることにしました。
なぜ若者が出家するのか
私の親戚と清水富美加さんには何の繋がりもありませんが、20代で世俗から縁を切りたいと考え出家することを決めた背景には、やはりある程度の共通点があるようにも感じます。
親戚の子は、幼い頃から僧侶やお経に興味を持っていたようで、法事の時にはお坊さんと一緒にお経をよんでいました。
高校生くらいから趣味として写経やお寺めぐりを1人でしていたようですが、自分から「お寺に魅力を感じる」といったようなことを発言することはありませんでした。
彼は大学を出たあと介護ヘルパーとして老人ホームで働き始めました。
「仕事がハードで給料が安い」というのは、彼の母親から聞きましたが、彼自身は文句を言うこともなく働いていました。
ただ、やはり待遇面で合わなかったのか、半年くらいで辞めて、別の老人ホームで働いていました。
そのあとも何度か転職を繰り返していたようです。
無職で引きこもっていた時期もあったようですが、彼の父親は厳しい人なので、家にいることを許してくれませんでした。
仕事を転々としながら、学生時代から付き合っていた女性と結婚話も出ていましたが、いつの間にか別れてしまっていました。
私の家と親戚の家は離れているので、細かいことまで分かりませんが、とにかく彼の人生があまり上手くいっていないことは伝わってきていました。
そして、去年の暮れに彼が出家したことを彼の母親から聞きました。
「あの子は昔からお寺が好きで、仏様が好きだったから」と、彼の母親は言いました。親戚中、みんなそれで納得しているようでした。
私は、彼が神秘的な世界に魅力を感じて仏門に入ったのならそれで良いと思いましたが、自分の人生に行き詰まりを感じて、逃げる気持ちで出家したのなら悲しいなぁと思いました。
清水さんにしても親戚の男の子にしても、出家をした本当の理由と言うのは、本人にしか分からない部分がたくさんあるのだと思います。
出家とはそもそも何か
出家とは、家を出て仏道の生活に入ることをいうそうです。
一般的な出家は、師匠となる住職のいるお寺に入って修行生活を始めるようですが、「幸福の科学」のような新興宗教だと出家の方法も少し違ってくるのかもしれません。
「幸福の科学」の広報担当者はテレビのインタビューで、自宅にいながら出家が出来ると語っていました。
私の親戚の男の子のようにお寺に出家した場合だと、自分の身の回りのものにかかるお金以外には、かかる費用はありません。
お寺によって、身の回りのものについても全て負担してくれたり、生活費を支給してくれることもあるみたいです。
新興宗教への出家だと、全財産を教団にお布施として渡さないといけないとか聞いたことがあるのですが、これは宗派によって違うのかも知れませんね。
少なくとも、私の親戚はほぼ無一文で出家しました。
出家に際して年齢や性別は関係なく、受け入れてくれるお寺(宗教団体)さえあれば可能なのです。修行を積めば住職になれることもあるようですから、幼い頃から神秘的な世界に惹かれていた人にとっては天職となり得るのかも知れません。
ただ、もともとお寺に縁の無い在家の人が僧侶になるには、まず師匠になってもらう住職に出家を認めてもらわなければいけませんから、生半可な気持ちで出来ることではないと思います。
これから「出家」が増えるのかも
最近、中高年で出家をする人も増えているようですが、20代で出家をしてしまうのは少し早すぎるようにも感じます。
もちろん出家したからと言って人生が終わるわけではありませんし、仏の道を歩みながら様々な経験をして、自分自身を成長させることが出来るのだとは思います。
やっぱり、若い世代が出家したいと考える理由には「目の前の社会に希望が持てない」という、ネガティブな気持ちがきっかけになることも多いでしょう。そう考えると、この社会の閉塞感の中で逃げ道を求める若者は、これからもっともっと増え続けるのではないかと感じるのです。