未婚女性の間で話題になっている「卵子凍結」ってご存知でしょうか?
日本ではまだまだ知らない人も多いですが、海外では不妊治療対策として、若いうちに卵子の凍結保存を選ぶ女性が増えているのだそうです。
不妊治療の一環としておこなう「卵子凍結」の手術の手順や、それにかかる費用、リスクとメリットなど、なかなか情報が無くて知る機会が少ないですよね。
こちらの記事では、高齢出産や不妊治療に備える手段になる「卵子の凍結保存」について詳しくまとめました。
実際に卵子凍結の手術を受け、その後に体外受精で妊娠出産をした女性の体験談も紹介していますので、ぜひ参考にしてみて下さいね。
『卵子凍結』とは?
「卵子凍結」とは、健康なうちに卵子を採取して凍結保存をしておくことをいいます。
将来「不妊症」などが起こった場合や、高齢になってから結婚をして出産を望む場合に役立つ方法として数年前から注目が集まっています。
元々は、大きな病気で手術をされる人や、癌の治療で抗がん剤を使わなくてはいけない人が、「病後に妊娠を望んでもできなくなってしまった」とならないように、治療前に卵子を採取しておく手術が始まりでした。
女性の身体から採取して凍結保存された卵子のことを「凍結卵子」といい、専用のタンクで長期間の保存が可能となっています。
健康な人が卵子凍結する理由
元々は大きな病気の治療前に行なうのが一般的だった卵子凍結ですが、最近では、健康な女性が卵子凍結を望んで受けることが多くなっているのです。
特に病気も無く、今現在は不妊に悩んでいるわけでもない女性が、なぜ卵子凍結を受けるのでしょうか?
健康な女性が卵子凍結を受ける理由には、世界的な問題となっている「晩婚化」や「高齢出産のリスク」があります。
以前「あさイチ」に出演されていた産婦人科医は、卵子凍結を望んでクリニックを訪れる女性について「30才後半くらいからのパートナーのいない女性が、駆け込み寺のような感じで相談にくることが多い」と語っていました。
結婚には焦っていないけれど子供は欲しい。絶対に自分の子供は授かりたいと思っているけれど、パートナーに恵まれず結婚の予定も無い為、とりあえずの措置として卵子凍結をしておきたいと考えるのです。
卵子凍結の手術を希望する女性の特徴
- 今現在はパートナーがおらず結婚の予定も無い
- かねてから「いつかは子供を授かりたい」という気持ちが強かった
- 年齢を重ねるごとに妊娠力の低下が心配になる
- 「老化は不妊につながるから…」と恐れている
- もしもの時のために「保険」として卵子を取っておきたい
不妊症への心配から卵子凍結を選ぶ
30代後半になって結婚の予定が無い場合、「いつになれば妊娠して出産できるのか分からない…」という不安を持つ女性は少なく無いようです。
女性の妊娠力は年齢とともに衰えるといわれているので、「この先せっかく結婚できても、もし加齢のせいで妊娠ができなかったら…不妊症だったらどうしよう…」と、1人で心配してしまうこともあるのです。
年をとると卵子の状態が悪くなってしまうことは分かっているので、「それならせめて健康なうちに卵子を取っておきたい」と考える女性の気持ちはすごく理解できますよね。
ただ、卵子凍結については費用の面や身体への負担など、色々とリスクもあるのです。
卵子凍結にかかる費用
まず、卵子凍結にかかる費用ですが、保険の利かない「自由診療」となるため、料金はクリニック側の意思で決められることになります。
不妊治療に関しても多額の費用がかかると言われていますし、短期間で結果がでない場合は、金銭的な理由で不妊治療を諦めざるを得ないケースも少なくありません。
それと同じように卵子凍結にも大きなお金が掛かってくるので、なかなか「誰もが選べる手段」とは言い難いのが現実です。
卵子の凍結保存の手術費用と保存費用は100万円以上
卵子凍結に掛かる費用はクリニックにより違いがありますが、安くても数十万以上、場合によっては100万円以上かかることもあるのです。
対応するクリニックも少ないため、受ける側の女性はあまり選ぶ余裕もないでしょうし、提示された金額を支払うしかないという問題点もあります。
もともと不妊治療はお金がかかるものの、ただ卵子を採取して保存しておくだけで100万円というのは、やはり高額すぎるような感じもしますね。
卵子凍結の妊娠率は?
高額な費用を支払い、痛い思いをしてでも「いつか健康な赤ちゃんを産みたい!」と、卵子凍結を選ぶ女性は年々増えているそうです。
ただ、卵子凍結をしたからといって必ず妊娠できるかといえば、そうともかぎりません。
凍結卵子を使って妊娠するためには、通常の自然妊娠ではなく体外授精を行なう必要があります。
これは不妊治療でも同じですが、体内から取り出した卵子と精子がうまく受精をしてくれないと、妊娠は成立しないのです。
凍結卵子を使った体外授精の妊娠率は、通常の体外授精よりもさらに難しいと言われています。
通常の体外受精の妊娠率が、30代で20%前後、40代で0.8%前後ですから、それより下となると、ちょっと厳しいのかなとは感じますね。
凍結卵子の体外受精85人中12人しか妊娠できなかった…
実際、これまでに日本では44の医療機関で1005人が卵子凍結をしているそうですが、その中で解凍された卵子は85、そのうち妊娠に成功した人は12人しかいないのです。
1005人のうち85人しか解凍に至っていない背景には、将来の妊娠を願って卵子凍結をした女性でも、その後結婚できるとは限らず、結局、卵子の出番がないままに年月が過ぎていく女性がほとんどなのだそうです。
もちろん、中には普通に妊娠ができたために使わずに済んだ女性もいるのだと思うのですが…
凍結卵子は、専用のタンクを使えばかなり長い期間にわたって保存できるのだそうですが、やはり女性側にも妊娠が可能な年齢の期限があります。
そのため、一定期間が過ぎれば卵子を処分するという病院もあるのだそうです。
卵子凍結をした体験談
「あさイチ」の番組内で、実際に卵子凍結を受ける女性を取材していました。
卵子凍結を選んだ理由や、手術の痛み、身体の負担やかかった費用など、細かい情報を語ってくれていたので、すごく参考になりました。
女性は40才独身で、いつか結婚をした時に不妊症だったら困るので、今のうちに卵子を残しておきたかったそうです。
事前のホルモン注射
卵子凍結のために卵子を採取するのですが、卵子は普通、1カ月に1個しかできません。
でも、卵子凍結では複数の卵子を取らなくては意味がないので、女性は排卵誘発や卵子を成長させるためのホルモン注射を手術の10日前から毎日受けていました。
*この排卵誘発は、卵子凍結で必ず行なわれるわけではなくて、排卵誘発をせずに自然な卵子だけを使うクリニックもあります。
ホルモン注射の影響で身体に変化が…
ホルモン注射をはじめて一週間。卵巣が腫れて下腹が出てきていました。
女性は「下腹が重い」「ズシーンとする」と言っていました。
女性は立ち仕事の多い職場でしたが、あまりにも立っているのがつらくて座り仕事に変えてもらったそうです。
いよいよ卵子を採取して凍結保存
ホルモン注射開始から10日後、女性はいよいよ卵子を採取する手術を受けました。
手術は、膣の壁に注射針を刺して1つずつ卵子を取っていきます。
強い痛みのため全身麻酔がされていましたが、それでも針が刺さるたびに身体をこわばらせる女性。
この手術で、女性の体から19個の卵子が採取されました。
採取された卵子は薬剤を使って水分を抜き、−196度の液体窒素で凍らせた後、専用のタンクで凍結保存されるそうです。
卵子凍結の術後は…?
卵子凍結の手術のあと、全身麻酔からさめればそのまま帰宅できるそうです。
医師から痛みはあるか聞かれた女性は「痛みはあります」と答えていました。医師は、今日1日はゆっくり過ごしてくださいと伝えていました。
卵子凍結で実際にかかった費用
女性が卵子凍結で支払った費用は、ホルモン注射と手術代で35万円と凍結卵子の10年間の保管料で63万円。合わせて98万円でした。
やはり卵子凍結の費用は100万円はかかると思っておいた方が良いですね。
使うかどうか分からない凍結卵子、しかも体外受精での妊娠率は1割ほどしかないと知ってしまうと、100万円はすごく高額に感じてしまうのですが…。
それでも、可能性が全く無いよりは良いと言えるのかも知れません。
凍結卵子で生まれた子どもへの影響は?
卵子凍結の手術を受けた女性とは別に、実際に凍結卵子で妊娠をして生まれた子どもの母親にも、「あさイチ」では取材していました。
その女性は、39才で卵子凍結を選びました。
理由は、当時はパートナーもいなくて追いつめられた気持ちだったため、将来のために「卵の老化をストップさせたい」と思い立って卵子凍結を選んだそうです。
その後、41才で結婚しますが子どもに恵まれず、不妊治療をしても授かることはありませんでした。
凍結卵子を使って妊娠出産ができたものの、「凍結卵子では生まれる子どもに悪い影響があるのではないか」と不安があったそう。
そのため夫にも凍結卵子を使ったことを伝えられず、子どもが健康に成長した2才の頃に、やっと真実を打ち明けたということです。
現在、お子さんは元気に保育園に通っているということで、凍結卵子だからという影響は特に無いようでした。
女性は、自分は凍結卵子で妊娠ができたので人にすすめたい気持ちもあるけれど、色々なリスクがあるので「絶対に良いよ」とは言えないと語っていました。
この女性はきっと、先ほど紹介した「凍結卵子で妊娠が成功した12人」の中のお1人になるのだと思いますが、確かにこの妊娠率の低さから考えれば、気軽にオススメはできないですね…
妊娠率を上げるために自分でできること
今は結婚や妊娠の予定はないけれど、いつかは元気な赤ちゃんを産みたい。
そう考える女性たちが、「健康な卵子を保存しておきたい」と考える気持ちはすごく共感できます。でも、卵子凍結で高い金額を支払って痛い思いをしながらも、妊娠率があまり高くないというのは残念ですよね。
女性の妊娠率は、確かに加齢によって下がってしまうと言われているのですが、それ以外にも健康状態や栄養状態がすごく大きく関わっているそうです。
ですから、まずは自分自身の妊娠率をキープしておくために、健康的な生活を送ったり、妊活に効果のある「葉酸」を積極的に摂取することも大切だと思います。
私自身も27才の時に第一子を流産してしまい、それから、妊活のために食事を見直したり適度に運動をしたり葉酸サプリを飲んだりと、生活を見直しました。
その結果、次に授かった子供は無事出産出来たので、妊娠の為には自分自身の体調を整える事も大切だなと感じました。
卵子凍結で不妊症になってしまうリスクもある
「あさイチ」では、卵子凍結のリスクについても紹介していて、「健康な女性が卵子凍結をしたがために不妊症になってしまうこともある」と言っていました。
どういうことかというと、卵子凍結の手術では、麻酔の事故やお腹の中での出血、ばい菌が入って膿ができるなど、さまざまなリスクがあるのです。
そうしたことが原因となり、卵子凍結の術後に不妊症になってしまう女性もいるのだそうです。
健康な赤ちゃんが欲しくて卵子を残そうと思っているのに、それが原因で赤ちゃんのできない身体になってしまうというのはつらすぎますよね。
もちろん、信頼できるクリニックを選ぶことは絶対ですが、それでも、100%安全とは言い切れないというのが現実のようです。
日本産婦人科学会は卵子凍結を推奨していない
卵子凍結には先ほど紹介したような手術のリスクがあり、また、妊娠機能に問題の無い女性の卵子を取り出して保存すると言う行為にも問題があるという意見もあって、日本産婦人科学会は卵子凍結について推奨はしていません。
今のところ実施できる病院も少ないですし、医師側の経験不足もあるのかも知れませんね。
日本では大体40代前後で卵子凍結を受ける女性が多いらしく、そのため妊娠率が低いという考えもあります。
一方で、海外では20代のうちに卵子凍結をしておく女性が多いのです。
「若い方が卵子の質が良い」ということを考えれば、やっぱりもう少し見直す点があるのかも知れないと感じました。
司会の有働アナウンサーは、同年代の女性との話題に「卵子凍結」が出てくることがよくあり、経験した人に話を聞いたりして、すごく身近に感じていると言っていました。
仕事をバリバリ頑張っている女性にとっては特に、妊娠出産のタイミングが作れないという悩みが多いですから、「卵子凍結」が良い解決策の一つになるなら良いですよね。
そのためにも、もう少し、受ける女性側の負担やリスクを減らした方法が見つかれば良いなと思います。
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