疲れた時や落ち込んでいるとき、甘いものを食べるとホッとして気持ちが和らぎますよね。
仕事でストレスが高まった時には、「甘いものが食べたい…」という気分になる人も多いのではないでしょうか。
甘い=幸せ♡
甘いものを食べると、脳からセロトニンというホルモンが分泌されて幸福感がムクムクと湧き上がるため、一度それを味わった人の中では、「甘いもの(糖分)=癒される」という図式が出来上がります。
こうした糖分による幸福感は、適度に感じているうちは良い効果といえるのですが、量が多くなればそれがリスクに変わってしまいます。
糖分の摂りすぎが及ぼす病気としては糖尿病が有名ですが、糖尿病以外にも怖い症状がたくさんあるのです。
今回は、糖分の摂りすぎで起こる病気と、1日に摂取する砂糖の量の目安をご紹介します。
甘いものに頼らずに、上手に疲れやストレスを軽減させる方法もご紹介していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
あなたも糖尿病かも?
まずは、糖分の摂りすぎでかかりやすいといわれている糖尿病についてご紹介します。
糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの量が通常より少なくなったり、働きが悪くなることで、食べ物から摂取したエネルギーを正常に代謝できず、血糖が高くなってしまう病気です。
糖尿病は日本人の5人に1人がかかっているといわれますから、「わたしは大丈夫!」と健康に自信を持っている人でも、無関係とは言い切れないのではないでしょうか。
糖尿病には遺伝的な要因で引き起こされるものや、妊娠がきっかけとなって発症するものもありますが、多くは糖分の摂りすぎや肥満、運動不足などの生活習慣が原因になっていると考えられています。
40歳以上で太り気味の人は糖尿病にかかりやすいとされていますから、砂糖の摂りすぎについては特に気を付けなくてはいけません。
糖尿病の症状とは?
糖尿病にかかっていても、初期であれば痛みや不快感がほとんど無いため、自分では気付きにくいという特徴があります。
でも、気付かず放置して悪化させてしまうと、手足の感覚が無くなって壊死してしまったり、視力が悪くなって失明したりと、かなり大変な事態に陥ってしまうこともあります。
ですから、糖尿病はできるだけ早く気付いて早期に治療を開始することがとても大切。糖尿病の初期症状のサインをまとめましたので、気になる時には早目に病院を受診して下さいね。
糖尿病の初期症状
- いつもより喉が乾く
- トイレが近い(頻尿、多尿)
- 尿が泡立つ(蛋白尿)
- 身体がだるく倦怠感がある
- 食事をしても空腹感が残る
- 以前より寝付きが悪くなった
以上が糖尿病の初期によく見られる症状ですが、これら以外にも気になる症状がある時には医師に相談してみましょう。
中性脂肪の上昇に注意
ここからは糖尿病以外の、糖分の摂りすぎが原因で起こる病気について考えていきましょう。
食事やデザートで糖分を取りすぎると肥満に繋がるというのは、誰もが思い浮かぶことですよね。
自分でお菓子作りをしたことのある人ならご存知だと思いますが、洋菓子でも和菓子でも、甘いお菓子というのは驚くほどの量の砂糖が使われているものです。
お菓子以外にも、炭酸ジュースや缶コーヒーなどの甘く感じる飲み物にも砂糖がたくさん入っています。
こうした甘い食べ物や飲み物を摂りすぎて太ってしまうと、見た目が気になるのはもちろんですが、それよりも心配なのは体の中の中性脂肪が上昇してしまうことです。
動脈硬化を引き起こすことも
糖分や脂肪分を摂取しすぎた時に上昇する中性脂肪はTG(トリグリセリド)値であらわされますが、そのTG値が高いまま放置していると、動脈硬化を起こしやすくなります。
そうなると脳卒中や心筋梗塞といった、血管のつまりが原因となる病気にかかりやすくなるのです。
また、中性脂肪を合成する肝臓への負担も大きくなるため、脂肪肝が引き起こされると、肝硬変や肝臓がんのリスクが高まることも考えられます。
肝臓の病気といえばアルコールが原因になることが多いので、甘いものは大丈夫だろうと考えている人も多いのですが、実は糖分の摂りすぎも肝臓にはかなりの負担になっているのです。
鬱病に繋がることも…
最初にご紹介したように、糖分は脳内のセロトニンの分泌を促すため、甘いものを食べると気持ちが落ち着いて幸せな気分になります。
この、湧き上がる幸福感には、実は良い面と悪い面があります。
良い面では、もちろんストレス軽減や疲れを癒す効果ですよね。私も、仕事で疲れたなと感じたらチョコレートをひとかけら口に入れたり、頂き物のおまんじゅうなどをつまんだりします。
一方で悪い面では、糖分には中毒性があるということです。
人間は、一定の効果が保証されているという物に対して、とても魅力を感じ、惹き付けられる生き物です。
糖分を摂れば幸福感が湧き上がるというセロトニンの効果は、上手に利用すればメリットがありますが、そこに依存してしまうと心に悪い影響が出てしまいます。
「疲れたから甘いものでも食べよう」という発想が、だんだんと「甘い物が無いと落ち着かない」という気持ちに変わってしまうと危険信号です。
砂糖の過剰摂取はビタミンB1の不足を引き起こし、ビタミンB1が不足すると脳が興奮や緊張を制御しにくくなります。また、平熱も低くなりやすいので、低体温の状態も心の健康を阻害してしまいます。
実際に糖分を摂りすぎると慢性的に体がだるく感じたり、寝付きが悪くなってしまう人も多いです。
そうした症状が長引くと鬱病に繋がってしまうこともありますから、甘い物に依存しないよう、自分でコントロールすることがとても大切です。
糖分1日の摂取目安
WHO(世界保健機関)が提唱している糖分の摂取目安は、大人も子どもも1日に摂取するカロリーの5%未満です。(以前は10%でしたが、2015年に見直されました)
摂取カロリーの5%を日本人の大人に当てはめてみると、砂糖小さじ6杯分、約25gということになります。25gといわれても、どれくらいの量なのか分かりにくいですよね。
食品に含まれる砂糖の目安は…
- シナモンロール 55g
- オレオ6個 57g
- コーラ350ml 39g
- カステラ1切れ 100g
- 白米100g 36.8g
いやいや…、これだと1日にパン1個も食べられないことになりますよね。
WHOは生活習慣病の予防のために砂糖の量の摂取目安を考えだしたのですが、これには世界中から異論が出ているそうです。
確かに、ちょっと現実的ではない量ですよね。
ということで、日本の厚生労働省が出している糖分摂取の基準1日300gを参考に考えれば良いかと思います。
300gって、25gに比較するとすごく多く感じますが、糖分は食べ物や飲み物のほとんど全てに含まれているので、甘いものに限らず全体でバランスを取るのが大切なのです。
砂糖に頼らないストレス解消法
それでは最後に、甘いものを食べなくてもストレスを解消するための方法をご紹介いたします。
深呼吸
深く息を吸って吐くという、簡単なことですがストレス解消の効果は高いです。疲れた時にため息が出るのも、深呼吸で気分が良くなることを脳が知っているからです。
思いっきり泣く
涙活という言葉もあるほど、涙を流すことは自浄作用があります。内に秘めた感情を放出することで、心スッキリ元気が出ます。
意識して笑う
笑うことも泣くことと同じように、自浄作用があります。喜怒哀楽を表に出すことは、ストレスを溜め込まないためにひじょうに効果的ですよ。
無理して笑えない気分の時は、口角を上げるだけでも精神の安定に繋がるそうです。
歌う
疲れやストレスが溜まっていると、自然に猫背になってうつむきがちになるものです。歌うという行為は腹式呼吸にも繋がりますし、鼻歌を口ずさむだけでも気分を良くしてくれます。
硬いものを噛む
何かを噛むと安心感を得られるという人は多いですし、ガムやスルメなどを噛み続けることで唾液がたくさん出て免疫力が高まります。
何ごとも適度が一番
糖分を摂りすぎることは確かに健康に悪い影響がありますが、だからといって、あまりにも避けてしまうのはよくありません。
糖分は体のエネルギーを作り出す必要不可欠な栄養素です。
少し前に流行した糖質制限ダイエットでも、それが原因で体調が悪くなった人も多くいたようで、人間にとって糖分がどれだけ大切なものかというのがよく分かります。
糖分に依存して摂りすぎるのはダメですが、適度に量を守って、健康維持のために上手に摂取してみましょう。