いくらかかるか分からないお葬式。
葬儀会社の言われるがままに契約をすませたら後でとんでもない金額を請求された…ということもあるため、最近では料金が分かりやすい「定額の葬儀サービス」を利用するお家が増えています。
葬儀の料金って何にいくらかかるのか素人にはさっぱり分かりませんし、何度経験しても思っていたよりお金がかかるのが当然のような感じがあります。
それだけに、最初に「料金はこれだけ」と明瞭になっている葬儀サービスは安心して利用できますよね。
でも、数年前から定額をうたいながら追加料金を払わせる葬儀会社が問題になっているのです。
つまり「これだけ払ってもらえれば追加料金はありませんよ」と宣伝しておきながら、実際に葬儀で利用すると「追加料金が発生したので◯円追加で払って下さい」と言い出す葬儀会社です。
お葬式をする時というのは家族を失った悲しみで心がいっぱいになっている状態で、とても動揺していますよね。
ですから定額といっていたくせに追加料金を請求されても、そこで「なんでだよ!」と腹を立てる余裕もないというのが正直なところではないでしょうか。
ただ、だからといって、どさくさに紛れるように追加料金を取られるのは腑に落ちないですよね。
こちらの記事では、定額サービスといいながら追加料金を請求していた葬儀会社3社の事例を紹介しながら、定額の葬儀サービスの注意点をまとめています。
定額のはずが追加料金を取られる葬儀サービス
これまでに、定額なのに追加料金を遺族に請求していたことが問題視された葬儀サービスは、「イオンのお葬式」「小さなお葬式」「よりそう」の3つです。
どれも有名なサービスで、定額の葬儀サービスを検討したことのある方なら誰でも知っているのではないでしょうか。
この3社はいずれも定額サービスと言いながら追加料金を請求したことで消費者庁から改善命令や措置命令を受けています。
たとえば、2017年12月に措置命令が出された「イオンのお葬式」の場合では、新聞広告に「追加料金不要」とはっきり記載したうえで、料金を「火葬式19万8000円(税込)」「1日葬34万8000円(税込)」「家族葬49万8000円(税込)」と記載していました。
これだけ読むと、まるでその金額だけを支払っておけばお葬式ができるように感じますよね。
でも実際には、火葬場や葬儀場の利用料が一定額を超える場合や霊柩車や寝台車の移動距離が50kmを超える時など、さまざまな事項で追加料金が発生することが決まっていました。
こうしたことをしっかり説明しないままに「定額サービス」ということを大々的に宣伝してしまうと、「この料金だけで他にはお金はかからないんだ」と安心して利用した人が、あとで追加料金を請求されて困ってしまうこともあるのです。
葬儀サービスの定額制で気を付ける注意点
これまでに消費者庁から改善命令の出ている葬儀サービスについては、きちんと是正されていくものだと思います。
でも、他にも同じような定額の葬儀サービスを行なっている会社はたくさんあるので、契約する時には気をつけた方が良いですね。
特に地方の小さな葬儀場だと細かいことをうやむやにしてしまうこともあるので、不明点があればこちらから尋ねるようにして納得した上で契約をするべきです。
申し込む時には「追加料金」の項目を必ず確認
定額サービスといいながら追加料金を発生させていた葬儀会社は、どれも追加料金についての説明はWEBサイトや広告内で記載して説明していました。
でも、その説明が「追加料金無しの定額サービス」と書かれている部分とは離れていたり、別のページに記載されていることで、定額サービスを申し込む多くの人の視界には入らなかったのです。
ですから後になって「説明を聞いていない」と言っても「いえいえ、ここに書いていますよ」と言い逃れが出来るようにはなっています。
消費者庁が間に入ってくれれば心強いですが、個人のケースでは基本的に葬儀会社対契約者の話し合いになるので、そこで「きちんと読んでいなかったのですか?」と言われてしまえばこちらにも非があることになりますよね。
そうならないためには、定額の葬儀サービスを契約する前に追加料金の項目を探して読んでおいて、自分が利用するサービスが該当しないかどうか確かめておくことが必要です。
生前から葬儀サービスの下調べが大切
自分が亡くなったとき、どこで葬儀をするか。どういった式にしてもらうか。考えてみたことはありますか?
私はまだ具体的には考えていないのですが、私の母は葬儀場も入るお墓もすべて決めて代金も支払っているそうです。
以前、葬儀会社の契約書を見せられたことがあります。「私が亡くなったらここに連絡をして」と言っていました。
亡くなる前から葬儀のことを考えるのは気が進まないかも知れませんが、機会があれば葬儀サービスの下調べをしておくと、残される家族は安心かもしれません。
私も母が自分で葬儀会社やプランを決めていてくれたことで、もしもの時に「母はどうしたかったのだろう…」と悩む必要が無くなりました。
親が高齢になったら地域の葬儀サービスを下調べしておく
高齢の親がいる場合には、住んでいる地域の葬儀会社や葬儀の料金の目安を調べておくことも決してムダではないですよね。
年齢を重ねると親族を亡くして葬儀を行なう回数も増えてきますが、何も備えずに成り行きにまかせるとかかる金額も大きくなりがちなので、ある程度は備えておくことが必要ではないでしょうか。
親も子もお互いに元気な時の方が葬儀についても前向きに話し合えますし、事前に評判を調べることで、不誠実な葬儀会社を利用してしまって後悔することも無くなります。
定額の葬儀サービスは安心だけど注意も必要
親族の葬儀を何度か経験して、やっぱり思っていた以上にお金がかかりますから、料金体系が分かりやすい定額サービスは魅力的です。
消費者庁から改善命令が出されたことで不安もありますが、先ほども書いたように追加料金の項目を事前にチェックしておくことがトラブル回避になりますね。
葬儀サービスはいつ利用する日が来るか、もしかしたら明日という可能性もあるだけに、普段から下調べや心の準備をしておくことが大切なのです。