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【ノーベル文学賞】カズオ・イシグロ『日の名残り』『わたしを離さないで』あらすじと解説まとめ

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

10月5日、スウェーデン・アカデミーは今年度のノーベル文学賞受賞者を発表しました。

受賞したのは、日系イギリス人のカズオ・イシグロさんです。

カズオ・イシグロさんは幼少期を日本の長崎県で過ごし、渡英してからも、母親との会話は日本語で行なっていました。

そのためか、カズオ・イシグロさんの小説には、日本文化を思わせるような表現がよく使われているともいわれます。

イギリス国籍のイシグロさんですが、ご両親は日本人。そして、村上春樹さんなどの日本の作家とも親交があり、日本とも縁があります。

今回ノーベル賞を受賞したあとのインタビューでは、日本への特別な想いも語っています。

日本語を話す日本人の両親のもとで育ったので、両親の目を通して世界を見つめていました。私の一部は日本人なのです。私がこれまで書いてきたテーマがささやかでも、この不確かな時代に少しでも役に立てればいいなと思います。

カズオ・イシグロ受賞後インタビュー(JNNニュース)

2017年度ノーベル文学賞を受賞された、日系イギリス人作家カズオ・イシグロさんの小説の中から、代表作である『日の名残り』『わたしを離さないで』のあらすじと解説をまとめました。

目次

「カズオ・イシグロ」代表作のあらすじと解説まとめ

若いときは、作家になる野心はまったくありませんでした。ミュージシャンになりたかったのです。実際に小説を書き始めたときは、自分でも驚いたほどです。自分がどうして小説を書くようになったのかと振り返ってみると、最初に書き始めたときの主な動機がまさにそうであることに気づくのです。つまり自分にない記憶を何とかして書き留めることです。

カズオ・イシグロ 「『わたしを離さないで』 そして村上春樹のこと」 月刊文学界 2006年8月号 by 国際ジャーナリスト 大野和基

『日の名残り』(The Remains of the Day)

『日の名残り』は1989年にイギリスで刊行され、日本では1990年7月に日本語訳が発売されました。

1989年に世界的に権威のあるイギリスの文学賞「ブッカー賞」を受賞。また、1993年には映画化もされています。

『日の名残り』あらすじ

舞台は第二次世界大戦が終わった後の1956年。

ダーリントン卿の執事として長く勤めたスティーブンスは、ダーリントン卿の死後、新しい主人となったファラディ氏に勧められ、短い旅に出掛けることになった。

スティーブンスの旅の目的は、屋敷の人手不足を補うため、かつて屋敷で働いていたベン夫人を職場復帰させること。

ベン夫人に会うため、イギリス西岸のクリーヴトンへ向かうスティーブンスの胸の中には、ベン夫人が旧姓のミス・ケントンと呼ばれていたころの淡い恋心、そして、ダーリントン卿が健在だったころの輝かしい思い出がよみがえってくるのだった。

かつて、スティーブンスの主人だったダーリントン卿は、第一次世界大戦のような惨禍を二度と繰り返さないよう、ドイツ、フランス、イギリスの3国の政府を宥和させるために奔走していた。

しかし、次第にナチスドイツが仕掛けた対イギリス工作に巻き込まれてしまい、不遇のうちに亡くなってしまう。

当時の記憶を蘇らせながら旅を続け、ベン婦人との再会を果たしたスティーブンス。

苦労の甲斐も無く世を去ってしまった主人のことや、消えかけた伝統、二度と戻って来ない輝きに思いを馳せながらも、屋敷に帰り着くまでには前向きな気持ちを取り戻していく。

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『わたしを離さないで』(Never Let Me Go)

『わたしを離さないで』は2005年4月にイギリスで刊行された長編小説です。日本では1年後の2006年4月に発売されています。

臓器提供のためだけに生まれてきたクローン人間が暮らす施設が舞台という、かなり衝撃的な設定で、アメリカとイギリスではベストセラーになりました。

2010年にイギリスで映画化され、日本でも舞台化とドラマ化がされました。

『わたしを離さないで』あらすじ

舞台は1990年代末のイギリス。31歳のキャシーは、提供者(臓器提供のために生まれたクローン人間)たちが生活をする寄宿舎で介護人の仕事をしていた。

キャシーは優秀で評価の高い介護人だったため、自ら介護をする提供人を選ぶことができた。

提供者の世話をしながら、子供のころの奇妙な思い出を回想するキャシー。

毎週の健康診断、喫煙をした生徒への保護管(教師)の厳しい態度。重要視された工作の授業。謎めいた接し方をする保護管たち。

提供者は、15歳前後になると自分が臓器提供のために生まれたという事実を知らされる。

キャシーと友人たちの間では、「恋人ができて、その愛が本物であれば、臓器提供への猶予が与えられる」という噂があった…

提供者として生まれたキャシーは、たとえ介護人であっても、通知がくれば臓器提供をしなければならない。

悲しい運命を背負いながら臓器提供をした親友たちの介護を続けたキャシーは、最後の友人がこの世を去った時、自分自身も提供者になることを決意する。

この他の作品も魅力的

今回はカズオ・イシグロさんの小説の中でも世界的に有名な代表作を紹介しました。

この他にも彼の小説の中には魅力的な作品がたくさんありますので、『日の名残り』や『わたしを離さないで』だけではなく、ぜひ別の作品も手に取ってみて下さいね。

『カズオ・イシグロ』小説一覧

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