夏休みの工作や読書感想文を『メルカリ』で買って、人任せですませようとする親子が増えているそうです。
その多くは、子供の本業である「勉強の時間」をやりくりするために、重要ではない工作や作文に手間をかけたくないという気持ちからきているそう。
中には、読書感想文のコンクールで賞を取ると私立校の受験に有利になる場合もあるため、優秀な作品を第三者に書いてもらって、美味しい所だけいただきたいというズルイ考えの人もいるみたいですね。
でも、ちょっと待って下さい。
その安易な考えが大変な騒ぎに発展する可能性があるということを、きちんと自覚していますか?
今回は、メルカリで読書感想文を購入する事のデメリットと、読書感想文を簡単に書く方法を紹介していきます。
読書感想文が『メルカリ』で売られている
先ほど、メルカリの出品を確認してみましたが、確かに読書感想文が多数出品されていました。
大体700円くらいが相場のようですね。
ちょっと安すぎるというか、もし私が書くとしたら5000円は頂きますが、1000円以内ってコスパが悪すぎるだけに出品物が信頼できるのかどうか心配にもなります。
メルカリの他にも、個人のブログやサイトでも、「コピペして良いよ」なんていって、読書感想文を公開している人がたくさんいてビックリしました。
作文は確かに大変な作業だけど
作文って、文章を書くのが苦手な子供にとってはすごく嫌な作業です。
しかもまず本を読んで、おおまかにあらすじをまとめる能力も必要になるので、余計に「書きたくない」「誰かにやって欲しい」という気持ちになるのかも知れません。
だけど、よく考えてみて下さい。
メルカリに出品されている読書感想文が、正真正銘のオリジナル作品だという保証はどこにもないですよね?
購入後に、ネット上で作文がパクリじゃないか確かめる事もできますが、自力で調べるには限界があります。
過去の入選作かも知れない…
読書感想文コンクールで入賞した作文は、毎年冊子が発行され、希望者は購入できることになっています。
これは学校で希望者が注文することになっているので、一般の書店では販売されていないですし、ネット上で公開されるものでもありません。
都道府県によって多少の違いはありますが、基本的にはこのようなシステムになっています。
ですから、もしかしたら過去の入選作の冊子を持っている人が、その中の作文を丸写しでメルカリで販売している可能性だってあるのです。
もしも『メルカリ』で購入した読書感想文が賞をとるような段階までいってしまい、そこで不正がばれてしまったら…
学校にももちろん知られる事になりますし、場合によってはクラスメイトにまでバレてしまうこともあるでしょう。
これまでにも、こうしたコンクールでパクリ作品を出品した学生が入賞したあと、パクリや盗作であった事が発覚して、賞を辞退したという事例がいくらでもあります。
受賞作で不正が発覚した時には学校が窓口になって対応するので、担任や校長、教頭、学年主任などに事情を聴かれる事になります。
思いがけない結果になる事も
とりあえず宿題を済ませたかっただけだから、賞なんていらないし、提出さえできれば良い。
そんな思いでメルカリを利用する親子もいるでしょう。
でも、
「うちの子の読書感想文はメルカリで買ったので、コンクールに出さないで下さいね」
なんて言えないですよね。
もしも入選したら名前と学校名とともに、冊子に掲載されて、ずっと残っていく。
ということを、きちんと頭に入れた上で、メルカリで買うか買わないかを判断してもらいたいと思っています。
子供に読書感想文を書かせる方法
実は、このブログにも夏休みに入ってから「読書感想文」で検索して来られている方が結構たくさんいます。
私は時間があいた時に小説レビューを書いているので、それを参考にして下さっている人もいらっしゃるようですね。
それについては、率直に嬉しいです。
先日は辻仁成さんの新刊をレビューしました。
www.moriumino.com
まぁ、こういうレビュー記事も読書感想文と同じようなものなので、私自身、読書感想文は得意な方だと思います。
実際に子供の頃はコンクールで知事賞を取ったり、子供達も同じように賞はいただいています。
その経験から言わせていただくと、読書感想文は難しく考えずに、3つのポイントをまとめるだけで良いんですよ。
読書感想文の3つのポイント
- 本を読んで率直に感じたこと
- 本のあらすじ
- この本が言いたいことを自分なりに予想
これです。この3つだけ。
読書感想文の「ねらい」は、「読書をして、その内容を理解できているか」ということなんです。
特に課題図書の場合は、伝えたい「テーマ」が必ずあります。
その「テーマ」を文中から見つけて、「テーマはこうだよね」と示してあげる。
そうすると、「よしよしきちんと理解できているな」と思ってもらえるわけです。
ただ、それだけで終わると内容として薄すぎるので、「私はこのテーマについてこう思う」「私はこういう経験があって、だからこのテーマにすごく親しみがもてる」など、自分自身の生活に絡めた文章を作っていきます。
できれば、自分の経験談もはさむと臨場感がプラスされます。
経験談をはさむ例文
- 去年おばあちゃんが亡くなった時、主人公と同じような経験があり、私はこう思いました。
- こういう経験は、私にはないけれど、もしもそうなった時には、こういう行動をすると思います。
- 本の中に出てきた言葉が気になって、お父さんと一緒に話し合うと、こんなことを言われました。
こういう感じで、読書感想文を読んでいる人が共感できるような体験談を織り込むことで、読みやすく理解しやすい作文を書く事ができます。
子供に書かせる時のポイント
文章が苦手な子供に読書感想文を書かせる時は、まず、興味の持てる本を自分で選ばせることから始めましょう。
子供は、自分が好きな本以外はなかなか読みませんし、無理して読んでも内容は理解できません。
なので、親としては「この本が感想文にふさわしい」と思っても、子供が気に入らない時には諦めて、進んで読める本の中から読書感想文を書く作品を選ぶようにして下さい。
そして、実際に書き始める前に、以下の事を子供に質問して答えを書き出します。
- どんな物語だった?
- 一番好きな場面はどこだった?
- なぜ好きだと思ったの?
- あなただったらどうすると思う?
- 同じようなことが起きたら嬉しい?悲しい?
こういう質問を重ねて、大体のまとまりがついたら作文していきましょう。
作文で書く順番
小学生の読書感想文だと、大体、原稿用紙3枚くらいが目安だと思います。文字数にして1200文字前後ですね。
なので、文字数が限られていますから、ムダなことは省きましょう。
リード文(導入)、あらすじ、好きな場面(印象に残った場面)、率直な感想。
この順番で書き進めて下さい。
大切なのはリード文で、「私は夏休みに◯◯◯を読みました」から始めるのは避けた方が良いです。
例えば、
「もう学校なんて行きたくない!」私がそんな風に悩んでいた時、お母さんが「読んでみたら?」とすすめてくれたのが『◯◯』でした。
表紙では女の子が楽しそうに笑っていて、私は「こんなの読みたくない!」って思ったけれど、手に取ってページを開くと、どんどん引き込まれて、心の中がすうっと軽くなるみたいに感じました。
こんな感じで、「なんとなく分かるな」と共感させる場面で入った方が良いと思います。
ちなみに、これは私の創作なのでパクらないで下さいね…
読書を楽しむ事が第一の目的
読書感想文は賞を取るとか取らないよりも、読書をいかに楽しんだか、その辺の競争で良いと思います。
小さな時から読書を習慣にすることで人生は何倍も楽しくなりますし、良い作品に出会うことが道しるべになることもあります。
親が子供のためにメルカリで読書感想文を買っていたら、「本との出会い」という、子どもにとってすごく貴重な機会を奪ってしまいます。
上手に作文が書けなくても良いじゃないですか。
まずは読書を楽しむこと。
読書を楽しめる人に育ってもらうこと。
そこが重要なんじゃないかなぁと思っています。